宇宙と測量

人工衛星が打ち上げられて以降、地球そのものが測量の対象になりました。先ず測定されたのは衛星の軌道でした。軌道は地球の重力や形状の影響受けるため、この軌道を電波で捉えることによって地球の形が分かるのです。そこで分かった事実は、地球は球体ではあるものの、楕円で、しかも細かな歪みがあるということでした。北極は突き出ていますし、南極は逆に凹んでいます。赤道も円を描いているわけではありません。人工衛星は宗教的な妄信を完全に破壊することになったのです。

地球に関する十分なデータが得られたのは、衛星を利用したジオイド測量が発達してからのことです。ジオイドは標高計測の基準であり、いわゆる海面を指します。海上であれば平均海面を使用すればよいのですが、陸地については仮想の水面を作り上げます。海の高さは重力によって変わるため、その陸地の場所で海が存在したとすればどれほどの高さになるのかを算出しなければなりません。地球の質量は均一ではないため、衛星によって重力と遠心力とのバランスした位置を算定することで導き出されます。こうしたジオイド測量に加え、人工衛星は様々なセンサーを搭載してきました。リアルタイムで地球を撮影することができるようにもなりましたし、磁器、赤外線、可視光線で測定することも可能になりました。データはコンピュータで解析され、肉眼で確認できるものをはるかに超えた情報がもたらされています。例えば肉眼では人工衛星写真を見ただけでは、森林と田んぼとを区別することがきません。しかし異なる波長データの組み合わせという解析方法によって、針葉樹林と広葉樹林の差異まで判別できるのです。